アスベスト(石綿)の分析
石綿(アスベスト / asbestos)は天然に産出する繊維状珪酸塩鉱物です。
石綿は耐熱性や耐薬品性などの優れた特性をもち、また安価なことからセメント・プラスチック・ゴムなどいろいろな材料と組み合わせた石綿製品があり、建築物の断熱材や耐火材など、幅広い用途で使用されてきました。
しかし、人体への長期間の吸入ばく露により、石綿肺や悪性中皮腫などの健康被害が問題となり、大気汚染防止法や労働安全衛生法に基づき規制が行なわれています。また、空気中の粉じん及び建材製品等に含まれる石綿の測定方法が確立されています。
1.作業環境・室内環境・敷地境界のアスベスト測定(気中濃度測定)
空気中に浮遊している石綿繊維を孔径0.8μmのメンブランフィルター(直径25mm, 47mm)で捕集し、このメンブランフィルターを透明化処理したのち、400倍の位相差顕微鏡を使用してアスベストの繊維本数を計数します。
労働安全衛生法に基づく作業環境管理濃度: | 0.15本 / cm2(150本 / L) クリソタイルのみ |
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大気汚染防止法に基づく敷地境界許容限度: | 10本 / L |
2.建材や吹付け材中に含まれるアスベスト含有率の測定(含有量測定)
A.定性試験
試料中にアスベストが含まれているか否かを測定します。
位相差顕微鏡による分散染色法とX線回折装置による分析の両方で実施します。
B.定量試験
アスベストの含有量を測定します。
基底標準吸収補正法を用い、X線回折装置で実施します。
A・Bの調査結果から、アスベストの含有率が0.1%を上回っていることが判明した場合、吹付け材の除去工事もしくは建築物の解体工事を計画する場合、工事の実施届出や飛散防止対策等の規制対象になります。